A 内科領域の漢方診療

  • 高血圧症

降圧剤を主に使いますが、降圧剤だけではコントロールがうまくいかないときや、頭痛や首のこりやめまい感を伴うときに漢方薬を使うと症状の改善だけでなく、降圧剤の減量が可能になることもあります。

  • 不整脈

期外収縮など特に治療の必要はないと診断されていても動悸などの症状が気になる方には漢方薬がよい適応になります。上手に漢方薬を選べば症状の消失も可能です。

  • 気管支喘息・肺気腫・慢性気管支炎

去痰剤や吸入薬を併用して使います。気道を潤し、痰を切れやすくするもの、気管支を拡張し呼吸しやすくするものなど良い効果が期待できます。

  • 膀胱炎・頻尿

膀胱炎の治療に漢方薬を併用することで抗生物質の服薬を長引かせずにすみ、再発の予防効果もあります。いわゆる頻尿にもよく使いますが、完全によくするには難しい面もあります。

  • アレルギー性鼻炎

抗アレルギー剤に漢方薬を併用するのは一般的になっています。気血水のバランスを考えて選択します。

  • めまい

内耳に水分が余ることで発症すると考えられます。漢方薬で内耳の水分を調整することが目標となります。

  • 冷え性・更年期障害

従来より漢方薬の出番となる疾患です。冷え性にも冷えを訴える部位や合併症状により、選択する漢方薬はいろいろあります。更年期障害は自律神経のアンバランスなので、気・血の巡りをよくすることを目標とします。漢方薬のよい適応になります。

  • 自律神経失調症・神経症・不眠症

多種多彩な症状、訴えがあり、他疾患との鑑別も重要です。個人の体力や体質をよく見極めて治療します。既に精神安定剤を服用している方もおられると思いますが、上手に漢方薬を使うと精神安定剤の減量にもつながります。

B. 消化器領域の漢方治療

  • 機能性ディスペプシア・慢性胃炎

胃の排出機能低下によって、胃内に食物残渣や胃液が長時間残る状態です。気を補い、気を巡らせることによって症状を改善します。制酸剤と併用することが多いです。これは逆流性食道炎にも当てはまります。

  • 過敏性腸症候群

ある程度効果の期待できる西洋薬はありますが、それだけでは対処しきれない症例も数多くあります。下痢と便秘の混合型は難しいと感じます。今までの知識や経験を総動員して治療します。

  • 慢性便秘症

単なる便秘症とはいえ、治療に困難を極めることの多い疾患です。最近の新しい薬も併用し、大黄の量を考えながら漢方薬を上手に使い、治療します。